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東京地方裁判所 昭和59年(ワ)7689号 判決

原告

内海末吉

右訴訟代理人弁護士

岡村親宜

内藤功

望月浩一郎

被告

大正海上火災保険株式会社

右代表者代表取締役

石川武

右訴訟代理人弁護士

溝呂木商太郎

主文

原告の請求を棄却する。

訴訟費用は原告の負担とする。

事実

第一  当事者双方の求めた裁判

一  請求の趣旨

1  被告は、原告に対し、二一二〇万円及びこれに対する昭和五八年五月一〇日から支払いずみまで年五分の割合による金員を支払え。

2  訴訟費用は被告の負担とする。

3  仮執行宣言

二  請求の趣旨に対する答弁

主文同旨の判決及び担保提供を条件とする仮執行免脱宣言

第二  当事者の主張

一  請求原因

1  事故の発生

(一) 日時 昭和五六年三月一一日午前九時一五分ころ

(二) 場所 東京都中央区有楽町二丁目六番一号先路上(以下「本件事故現場」という。)

(三) 加害車 大型貨物自動車(大宮一一や三〇七五)

(四) 右運転者 早川誠(以下「早川」という。)

(五) 被害者 原告

(六) 事故の態様 原告は、本件事故現場に隣接する東京蚕糸会館解体工事現場で、ユンボを運転し、加害車に解体したブロックや鉄筋のスクラップを積み込む作業を行つた。

早川は、右作業が終了したので加害車を運転し、第一金属株式会社(以下「訴外会社」という。)久喜工場へ向け出発したが、その直後加害車の燃料切れに気づき、右工事現場付近を一周し、右工事現場に隣接する公道上の本件事故現場に加害車を停車させた。そして、早川は、ドラム缶から加害車にポンプで軽油を給油した。

早川は、給油後、エンジンのエア抜き作業のため(加害車のエンジンは、ディーゼルであるが、ディーゼルエンジンは、燃料切れしたときは、給油した後に燃料系統に混入した空気を抜かないと、エンジンが始動しないか、始動しても急停止するため、エア抜き作業が必要である。)運転台を持ち上げて前方に傾け、エンジンを見ようとしたが、運転台の上にスクラップの鉄筋が二本突き出ていて運転台が持ち上がらなかつたため、同人は、そばで見ていた原告に鉄筋を取り除くよう依頼した。

原告は、荷台の積荷の上に乗り、右鉄筋を取り除いた。そして、積荷から降りようとしたところ、足を滑らせ、道路上に転落し、後記傷害を受けた。

2  責任原因

(一)(1) 訴外会社は、加害車を保有し、運行の用に供していたのであるから、自動車損害賠償保障法(以下「自賠法」という。)三条により、原告の後記損害を賠償する責任がある。

(2) 本件事故が加害車の運行によつて発生したものであることについて

運行によつての要件は、「運行」と運行「によつて」の要件に分けられるので、それぞれについて主張する。

ア 運行とは、自動車を当該装置の用い方に従い用いることをいう(自賠法二条二項)が、それは、位置の移動である走行を要件とせず、自動車の構造上通常設備されている各装置をその目的にしたがつて操作する場合をいうと解されている。本件事故は、停止中の事故ではあるが、エンジンを始動させるため、運転台を持ち上げるための作業中の事故であり、右運行に該当する。自賠法三条は、自動車の運行供用者に対し、いわゆる相対的無過失責任を課している。このように自動車の運行供用者に重い責任を課したのは同法が被害者の保護を目的とし、自動車が他人の生命、身体を侵害する危険性が高いからである。自動車が危険であるのは、走行中だけに限られるものではない。特に貨物自動車は、荷台に貨物を積載することを目的としており、駐停車中であつても、積載物の落下、荷積み、荷降ろしの際の事故などの発生の危険性は高いのである。したがつて、駐停車中の貨物自動車であつても、自動車の走行と密接に関連していた場合には、なお、自動車を当該装置の用い方にしたがい用いていたものというべきであり、自賠法上の運行と解するのが相当である。

自動車が駐停車中であつても、運行中と解されるか否かは、駐停車中の前後の走行との連続性の有無、駐停車の場所が道路上か否かの二点から総合判断されるべきである。右要件を本件事故に当てはめると、駐停車中の前後の走行との連続性の有無の点においては、a 燃料補給のための一時的停止であること、b 停止後本件事故発生まで数分の時間しか経過していないこと、c 燃料補給後は直ちに再走行する予定であつたこと、d 原告が荷台に昇つたのは、加害車の走行に不可欠なエア抜き作業を可能にするためであることの各事実に照らせば、駐停車中の前後の走行との連続性があることは明らかである。駐停車の場所の点においては、本件事故現場は、公道上であり、道路上の事故であることは明らかである。

以上のとおり、本件事故当時加害車は自賠法上の運行の状態にあつたものである。

イ 本件事故は、加害車の運行「によつて」発生したものであることについて、被告は、後記のように自賠法三条の運行「によつて」とは、自動車の運行と人身事故との間に因果関係を要するということであり、これを運行に際してと同義に解することは許されないと主張するが、確かに不法行為の要件である「因リテ」(民法七〇九条)の文言は、違法行為と損害との間の因果関係を意味すると解されている。しかし、自賠法三条の「よつて」を一般の不法行為法の場合と同様に因果関係を意味すると解すると自賠法が被害者保護の精神に基づいて制定され、同法三条がいわゆる相対的無過失責任を規定し、一般不法行為法に比較して、被害者の証明責任を著しく軽減している趣旨に反することになる。自賠法のモデルとなつている一九五二年改正の西ドイツ道路交通法においては、七条で「運行に際して」と規定されていることからも、運行「によつて」の意義については、運行「に依つて」すなわち、運行「に際して」と同意義に解するのが相当である。右要件を本件事故に当てはめると、本件事故は、a 加害車の走行に不可欠なエア抜き作業の前提行為として、b 加害車の運転者である早川が原告を、c 転落の危険性の高いスクラップをうず高く積んでいる加害車の荷台に昇らせたことに起因しているのである。したがつて、本件事故は、加害車の運行に際して発生したものであることは明らかである。しかも、仮に、運行「によつて」を運行と事故発生との間に因果関係があることを要すると解するとしても、原告は、走行に不可欠なエア抜き作業を実施するために、運転台の屋根の上に引つかかつていた二本の鉄筋を除去して荷台から降りようとしたところ、足場がスクラップだつたため、足を滑らせ転落し、受傷したのであるから、右事実関係に照らせば、加害車の運行と原告の受傷との間には因果関係があるというべきである。

(二) 被告は、加害車につき、訴外会社との間に、自動車損害賠償責任保険を締結しているので、自賠法一六条一項により、原告の後記損害を支払い限度額の範囲内(傷害につき一二〇万円、後遺障害につき二〇〇〇万円)において賠償する責任がある。

3  原告の受傷及び治療経過

(一) 原告は、本件事故により、第一二胸椎を骨折し、脊髄損傷の傷害を受け、本件事故当日から昭和五六年八月一七日まで日本医大病院に入院し、同日から昭和五七年七月七日まで関東労災病院に入院し、同年八月六日まで同病院に通院し治療を受けたが治癒せず、同日症状固定と診断された。

(二) 原告は、下半身が全く運動不能、麻痺の後遺障害が残り、右は自賠法施行令二条別表の後遺障害等級表第一級の「両下肢の用を全廃したとき」に当たる。

4  損害

原告は、次のとおり損害を被つた(自賠法施行令二条一項二号のイ「傷害による損害(ロからへまでに掲げる損害を除く)」と、同号のへ「別表に定める等級に該当する後遺障害が存する場合(ロからホまでに掲げる場合を除く)における当該後遺障害による損害」とに分けて主張する。)。

(一) 同号のイの損害

(1) 休業損害 五五一万四〇〇〇円

原告は、本件事故発生の日の翌日である昭和五六年三月一二日から、症状固定の日である昭和五七年八月六日まで五一三日間休業を余儀なくされた。原告は、本件事故当時健康な労働者であつて、本件事故がなければ、同人は、右休業期間中少なくとも、全国の全男子労働者の平均所得水準を下回らない程度の収入を得ることができたというべきである。全国の全男子労働者の平均所得水準は、昭和五八年賃金センサス第一巻第一表の「産業計・企業規模計・学歴計・男子労働者」におけるきまつて支給する現金給与額(二五万四四〇〇円)を一二倍したものに年間賞与その他特別給与額(八七万〇五〇〇円)を加えた金額三九二万三三〇〇円である。そうすると、その間の休業損害は五五一万四〇〇〇円となる。

(計算式)

三九二万三三〇〇円÷三六五×五一三=五五一万四〇〇〇円(一〇〇〇円未満切り捨て)

(2) 傷害慰藉料 三〇〇万円

原告は、前記のように本件事故による傷害のため入通院した。この間の入通院慰藉料は、少なくとも三〇〇万円とするのが相当である。

(3) 入院雑費 四八万四〇〇〇〇円

原告は、前記のように四八四日間入院を余儀なくされ、その間の雑費は一日当たり少なくとも一〇〇〇円を下ることはない。

以上合計 八九九万八〇〇〇円

(二) 同号のへの損害

(1) 逸失利益 四九八九万五〇〇〇円

原告は、本件事故による前記後遺障害のため、労働能力を一〇〇パーセント喪失したものであり、その間の得べかりし収入は、前記のとおり年三九二万三三〇〇円であり、症状固定時満四五歳であり、就労可能期間は二二年間であるから、新ホフマン方式により次の計算式のとおり年五分の割合で中間利息を控除すると(二二年の新ホフマン係数一四・五八〇〇から二年の新ホフマン係数一・八六一四を控除した係数)、原告の逸失利益は四九八九万五〇〇〇円となる。

(計算式)

三九二万三三〇〇円×(一四・五八〇〇−一・八六一四)=四九八九万五〇〇〇円(一〇〇〇円未満切り捨て)

(2) 後遺障害慰藉料 一九〇〇万円

原告の、本件事故による前記後遺障害の慰藉料は、少なくとも一九〇〇万円とするのが相当である。

(3) 付添費 二八〇三万一〇〇〇円

原告は、前記のように重度の後遺障害を残しており、生涯付添を必要とする。原告は、昭和五七年七月七日に退院した後、少なくとも平均余命年齢に達するまで二八年間(厚生省第一三回生命表)付添を必要とし、この間の付添費用は少なくとも一日当たり五〇〇〇円を下ることはない。新ホフマン方式により、次の計算式のとおり年五分の割合で中間利息を控除すると(二八年の新ホフマン係数一七・二二一一から二年の新ホフマン係数一・八六一四を控除した係数)、原告の付添費は二八〇三万一〇〇〇円となる。

(計算式)

五〇〇〇円×三六五×(一七・二二一一−一・八六一四)=二八〇三万一〇〇〇円(一〇〇〇円未満切り捨て)

(4) 弁護士費用 五〇〇万円

原告は、被告が右損害を任意に支払わないため、原告訴訟代理人弁護士に本件訴訟の提起、追行を委任したが、弁護士費用としては右金額が本件事故と相当因果関係にある損害というべきである。

以上合計 一億〇一九二万六〇〇〇円

(三) 原告の損害は、傷害につき八九九万八〇〇〇円、後遺障害につき一億〇一九二万六〇〇〇円となるから、被告は、原告の損害のうち、自賠法一三条一項、同法施行令二条の保険金額の上限である、傷害につき一二〇万円、後遺障害につき二〇〇〇万円の限度で損害を賠償する責任がある。

5  支払の催告

原告は、昭和五八年三月一八日被告に対し、右損害金の支払を請求したが、被告は、同年五月九日保険の対象外であるとして支払を拒絶した。

よつて、原告は、被告に対し、右損害金のうち自動車損害賠償責任保険の支払い限度額である二一二〇万円及び原告が保険金の支払を請求した日の後である昭和五八年五月一〇日から支払いずみまで、民法所定の年五分の割合による遅延損害金の支払いを求める。

二  請求原因に対する認否

1  請求原因1(事故の発生)の事実中、昭和五六年三月一一日午前九時一五分ころ、本件事故現場において、原告が加害車の荷台上の積荷から降りようとして足を滑らせ路上に転落し、傷害を受けたことは認めるが、その余は知らない。

2  同2(責任原因)の事実中、(一)のうち、訴外会社が加害車を保有していること、(二)のうち、被告は、加害車につき、訴外会社との間に、自動車損害賠償責任保険を締結していることは認めるが、その余は争う。

自賠法三条の運行によつてとは、自動車の運行と人身事故との間に因果関係を要するということであり、これを運行中運行に際してと同義に解することは許されない。

自賠法三条の運行の概念については、同法二条二項の定義規定を含め諸説あるが、最高裁判所は固有装置説によるものと思料される(最判昭和四三年一〇月八日民集二二巻一〇号二一二五ページ)。したがつて、運行供用者の損害賠償請求は、自動車固有装置の操作、使用が原因となつて人身事故が発生した場合に生ずると解すべきである。

原告の、受傷は、原告が加害車の荷台上の積荷から降りようとして足を滑らせ路上に転落したというものであつて、自動車の固有装置の操作、使用は何ら事故発生の原因となつておらず、原告の受傷に対し、加害車の運行供用者の損害賠償責任は発生しない。

3  同3(原告の受傷及び治療経過)の事実中、原告が、本件事故により、第一二胸椎を骨折し、脊髄損傷の傷害を受け、昭和五六年八月一七日から昭和五七年七月七日まで関東労災病院に入院し、同年八月六日まで同病院に通院(ただし、実通院日数二日)し治療を受けたが治癒せず、同日症状固定と診断されたことは認めるが、その余は知らない。

4  同4(損害)の事実は全て知らない。

5  同5(支払の催告)の事実は認める。

三  抗弁

1  原告の運転補助者性

仮に、原告の本件鉄筋の除去作業やそのために積荷から降りる行為が運行に係るものであるとするならば、原告は、その作業に従事した者として運転補助者であり、自賠法三条の他人に該当しない。

2  免責

仮に、原告の受傷が加害車の運行によつて生じたものであるとしても、前記のとおり原告の過失(自損行為)によつて生じたもので、運行供用者及び運転者は運行に関し過失はなく、また加害車には構造上の欠陥、機能の障害は存しないから、運行供用者の損害賠償責任は、自賠法三条但書により免責される。

四  抗弁に対する認否

1  抗弁1(原告の運転補助者性)の事実は争う。

運転補助者とは、一般に他人のために運転を補助的に、または、従たる立場で支配するものと解されている。支配する者とは、少なくとも運転行為の一部を分担する等直接の運転者と実質的に同視できる立場にあること、運行に何らかの関わりがあり、かつ、自己の状況判断に基づき運転者の運転動作に指示補助し影響を与える地位につくことをいう。本件事故においては、原告は、加害車の運転に関与していないことはもちろん給油作業、エア抜き作業のいずれにも関与していないのである。原告は、早川の指示にしたがつて、鉄筋を除去するために加害車の荷台に昇つているだけであり、単なる運転に対する援助行為に過ぎないものである。したがつて、原告は、自賠法三条の他人というべきである。

2  同2(免責)の事実は争う。

早川は、加害車の荷台にうず高くブロック、鉄筋等のスクラップが積まれており、その上で鉄筋を取り除く作業を行うことは、転落災害の危険があることを十分に予見できたにもかかわらず、加害車のエンジンを始動させるため、原告に右作業を頼み、右作業を漫然と見ていたものであるから、無過失とはいえない。

第三  証拠〈省略〉

理由

一請求原因1(事故の発生)の事実中、昭和五六年三月一一日午前九時一五分ころ、本件事故現場において、原告が加害車の荷台上の積荷から降りようとして足を滑らせ路上に転落し、傷害を受けたことは当事者間に争いがない。

二本件事故の態様について判断する。

1  〈証拠〉を総合すると、以下の事実が認められる。

原告は、本件事故当日午前八時ころ本件事故現場に隣接する東京蚕糸会館解体工事現場で就労し、ユンボを運転して、加害車の荷台に解体したブロックや鉄筋のスクラップを積み込む作業を行い、右作業は約一時間で終了した。

加害車の運転手の早川は、右作業の終了した午前九時過ぎころ加害車を運転し、右工事現場から訴外会社久喜工場へ向け出発したが、出発直後加害車の燃料切れに気づき、右工事現場付近の道路を一周し、右工事現場脇の公道である本件事故現場に加害車を停車させた。そして、早川は、その場所にあつたドラム缶から、加害車に給油ポンプで軽油を給油した。

早川は、給油後、エンジンのエア抜き作業のため(加害車はディーゼルエンジンを搭載しているが、ディーゼルエンジンは、燃料切れしたときは、給油した後に、燃料系統に混入した空気を抜かないと、エンジンが始動しないか、始動しても急停止するため、その混入した空気を抜く作業すなわちエア抜き作業が必要である。)運転台を持ち上げて前方に傾け、エンジンを見ようとしたが、運転台の上に、荷台上の積荷のスクラップの鉄筋が二本突き出ていて運転台が持ち上がらなかつたため、同人は、そばで見ていた原告に荷台上の鉄筋を取り除くよう依頼した。

原告は、それを引き受け、荷台の積荷のスクラップ上に乗り、右鉄筋を取り除いた。そして、積荷から降りようとしたところ、誤つて足を滑らせ、道路上に転落し第一二胸椎を骨折し、脊髄損傷の傷害を受けた(右受傷の事実は当事者間に争いがない。)。

以上の事実が認められ、右認定に反する証拠はない。

2 そこで、本件事故が自賠法三条にいう自動車の「運行によつて」発生したものかどうかについて判断するに、前記認定の事実関係のもとにおいては、加害車は、目的地に発車した直後、燃料切れのため、発車した場所脇の公道に戻つて、停車し、燃料の軽油を給油したのであるが、その後の予定は、加害車のエンジンがディーゼルのため燃料切れ後の発進に不可欠なエア抜き作業を行つた後、直ちに再発車するというものであつたのであるから、右加害車の停車前後の走行との連続性に鑑み、加害車が運行中であつたということができるが、原告が、エア抜き作業を援助するためであつたとはいえ、停車中の加害車の荷台の、積荷の上に乗り、荷台上の鉄筋を取り除く行為を終えたうえ荷台から降りようとした際に誤つて足を滑らせて転落負傷した本件事故は、加害車の固有装置をその目的にしたがつて操作、使用したことに起因するものとは言い難く、原告が停車中の加害車の荷台から降りる際、自らの過失により足を滑らせて転落するという自動車の運行とはかかわりのない原因によつて発生したものというほかない。

そうすると、本件事故は、自賠法三条にいう自動車の運行によつて発生したものということはできないから、訴外会社は、自賠法三条の規定に基づく運行供用者責任を負ういわれはなく、訴外会社の運行供用者責任を前提とする原告の被告に対する請求は、その余の点について判断するまでもなく理由がない。

三以上のとおり、原告の本訴請求は、理由がないからこれを棄却することとし、訴訟費用の負担について民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官塩崎 勤 裁判官福岡右武 裁判官宮川博史)

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